あらすじ
白浪五人男は本題名を「青砥稿花彩紅画(あおとそうしはなのにしきえ)」といい、文久2年河竹黙阿弥※148歳の時の作で、五代目尾上菊五郎の「弁天小僧」が出世役となったということです。
華やかな下座音楽※2で始まる五人男の稲瀬川の勢揃いは、縁語・掛詞・七五調の美文体と言葉の技巧を駆使した長ゼリフの「ツラネ」を楽しむ音楽的な場で、それぞれの人物にふさわしい下座音楽の曲想と、幕末末期の様式美で、圧倒的な人気を博した代表的世話狂言であります。
「白浪五人男」の通称通り、”しら浪”と書かれた傘をさして花道を出てくる五人の盗賊の、その年かっこうに応じたセリフが見せもの、聞かせどころで、文字通り”花の錦絵”であります。
夜桜の咲き乱れる稲瀬川のほとりに、五人男は共にあつらえた揃いの晴れ着を着て勢揃いします。
千人余りの賊徒のかしら日本駄右ヱ門、弁天小僧、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸が堤に並ぶと、捕手達が一斉に打ちかかります。五人男は、後日の再会を約束して四方へ落ち延びるのです。
名セリフと美しい決まりの型、歌舞伎のショーのはじまりです。
解 説
甘木盆俄は、明治40年、学校から差し止めがあるまで子供歌舞伎(チンコ芝居)として栄えてきました。
その後、子どもに代わって若手が演じるようになったのですが、盆俄保存会では第5回公演から原点に戻り、チビッ子連による白浪五人男を上演しております。第10回公演から捕手もチビッ子連が出演することとなりました。五人男を小学6年生が、捕手を小学5年生が演じ、名実ともにチンコ芝居の原点に戻しました。
すばらしいチビッ子連の熱演にご期待ください。