あらすじ
新春を迎えた祇園社※1頭、甘木に名高き六人衆が初詣にやってきます。
佐田川沿いの伊達男三人衆(佐田谷五郎・南陵立之助・寺内駄右ヱ門)は、手に竹笹に絵馬を持ち、甘木川筋の伊達男三人衆(江川鮎太郎・秋月古処之助・天野安兵衛)は、手に松の枝を持って、大鳥居の前に並びます。
ところが、どちらが先に参詣するかで双方が口論となって、松の内というのに初出入りになってしまうのです。
どこへ、こちらも初詣祈願にやって来た、元締めの甘木福右ヱ門と、盆俄の座元、俄屋金太夫が、三方に紅白の梅を持ちながら、六人衆の中に割って入り仲裁をするのです。
おさまり兼ねる役々も、無事に納める苦労人の二人の仲裁に顔を立てた六人衆は遺恨残さず引き下がり刃を納めます。そこで、二人が六人衆にそれぞれ名乗りをあげて初詣をしようと提案をしますので、六人衆はそれぞれに名乗りをあげるのです。
名乗りをあげた六人衆と、元締、座元の八人は祝い寿(ことほ)ぐ初詣に、祇園社の大鳥居をくるぐのです。
登場人物の名前には甘木市内十一ヶ町村の名にゆかりあるものをと工夫をこらし、花道での渡りセリフや六人衆の名乗りの七五調のセリフには、その人物にふさわしい市内各地の氏名や風俗をふんだんに盛り込みました。
解 説
恒例の名士連の皆さんによる舞台です。第九回公演までは「白浪五人男」で大人と子供の競演でしたが、十年を経過したのを機に、何か違った芸題はないものかと色々と検討を進めたのですが、「白浪五人男」のように役柄に差がなく、それぞれが主役としての立場にたち、しかも五人の歳格好に応じた名セリフの「ツラネ」を楽しめるような芸題が見当たりませんでした。
それならば地元甘木にふさわしい内容のオリジナルな舞台を!ということになり、平成三年から創作歌舞伎に取組むことになりました。
まったくの創作歌舞伎ですから今後上演しながら未熟なところをは改め、皆様に親しまれる作品に作り上げたいと思います。